幼保無償化 対象外“幼稚園”の園児 全国で2000人超 | NHKニュース

消費税率の引き上げに合わせて、幼児教育と保育の無償化が始まり1週間となりました。ところが幼稚園の中には、規模が小さいなど…


幼保無償化 対象外“幼稚園”の園児 全国で2000人超10月8日 16時01分

消費税率の引き上げに合わせて、幼児教育と保育の無償化が始まり1週間となりました。ところが幼稚園の中には、規模が小さいなどの理由で無償化の対象とならない施設が全国に100以上あり、園児の数も2000人を超えることが分かりました。専門家は「国は早急に実態把握に努めるべきだ」と指摘しています。

今月から始まった幼保無償化で、幼稚園や認可保育所などに通う3歳から5歳までの子どもは世帯の所得にかかわらず、利用料が無償となり、一部の私立幼稚園についても月額2万5700円を上限に給付金が支給されることになりました。

ところが幼稚園の中でも規模などが小さい「幼稚園類似施設」と呼ばれる施設は今回、無償化の対象となりませんでした。

国はその詳しい施設の数を「精査できない」として、明らかにしていませんが、NHKが全国の教育委員会などに取材した結果、その数は全国で少なくとも100か所以上あり、園児の数は2000人を超えることが分かりました。

これらの施設は地元自治体から助成を受け、通常の幼稚園と変わらない教育を行ったりしているだけでなく、少人数という特性を生かして、障害児を積極的に受け入れたりしているところもあります。

幼児教育に詳しい保育システム研究所の吉田正幸代表は「無償化の対象を決める際、施設の大きさやスタッフの人数だけで判断するのは難しい。地域ごとに、さまざまな事情の子どもたちがいる。無償化の恩恵が行き渡らず影ができていないのか、幼児教育の質が保たれているのか、評価できる制度が必要だ。国は実態把握に努めて、これら施設への支援を検討すべきだ」と話しています。

無償化対象外の“幼稚園”では

埼玉県蕨市にある「ひかり幼稚舎」は、無償化の対象とならなかった「幼稚園類似施設」です。

3歳から5歳までの36人の子どもたちが通っています。

昭和39年に、住宅を改装してスタートしたこの施設。

規模が小さいことを利用して、異なる年齢の子どもたちを交流させたり、障害のある子どもも受け入れたりするなど、きめ細かい教育が評判となり、これまでに2000人余りを卒園させてきました。

施設に通っているダウン症の高橋寛太くん、4歳です。

ここに入るまで、いくつもの幼稚園に難色を示されたといいますが母親は、この施設で同じ世代の子どもたちと触れ合うなかで、息子の成長を実感できるといいます。

ここで働く幼稚園教員は全員正規の資格を持っていますが、施設の面積が、埼玉県が幼稚園の基準とする1000平方メートルに満たないため今回、無償化の対象外となりました。

これにより、子どもたちの家庭の中には負担が軽くなる無償化の施設に移ることを検討しているところもあり、施設は入園者が減ってしまうと運営に影響が出るのではないかと懸念しています。

寛太くんの母親は「大きくなる前に、健常者の子どもたちと一緒に過ごさせてあげたいと思っていた。園が無くなると居場所を失ってしまうので何とか存続できるよう願っています」と話していました。

森上創副園長は「困ったなというのが率直な感想です。地元自治体が対応を検討してくれていますが、国には『すべての子どもに無償化』という理念に立ち返り、実態に即した対応をお願いしたいです」と話していました。

自治体「制度納得いかない」改善求める

無償化の対象とならない幼稚園類似施設を財政的に支援してきた自治体も、国に対して制度の改善を求めています。

「ひかり幼稚舎」がある、埼玉県蕨市の福田望児童福祉課長は「本来、幼児教育・保育の無償化は少子化対策として子育て世代の経済負担を減らすことが、目的の1つのはずだ。今回、国の制度で長年地域の子育てを担ってきた幼稚園に準ずる施設が対象外になることは自治体としても納得がいかない。自治体も財政的に余裕はなく、地域間格差も生まれることから、国は制度の趣旨に照らして幼稚園類似施設も無償化の対象にすべきだ」と話しています。

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